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【社長コラムvol.2】CBM(状態基準保全)とピエゾ電線センサー|日本の新しい技術を応援します!

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アニメ制作会社であるstudio.は、新しくおもしろい、日本のこれからを牽引していくであろう技術を応援しています。

現在わたしが注目しているのは、ロボセンサー技研株式会社が開発した「ピエゾ電線センサー」です。

ピエゾ電線センサーは“モノが触れた感覚”を計測する直径0.5mmのセンサーで、対象物の動きや振動を感知できます。呼吸や筋肉の微小動作を計測できるほどの繊細な振動を感知できるほどです。

そこで本記事では、ピエゾ電線センサーの活躍が期待できる分野である「CBM(状態基準保全)」についてご紹介します。どのような分野のCBMでピエゾ電線センサーを活用できるかも解説します。

CBM(状態基準保全)とは?

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CBM(Condition Based Maintenance)は、機械や設備の状態をリアルタイムで監視し、その状態に基づいて最適なタイミングでメンテナンスを行う保全方法です。従来の時間基準保全(TBM)や事後保全(BM)とは異なり、実際の機器の状態に基づいてメンテナンスを行うため、より効率的で効果的な保全が可能となります。

CBMは予知保全の一種であり、センサーやIoT技術を活用して機器の状態を常時監視し、異常の予兆を早期に検知します。

これにより、故障が発生する前に適切な対応を取ることができ、突発的な故障による生産ラインの停止を防ぐとともに、不要なメンテナンスを減らすことで保全コストの削減も実現します。

CBMは、安定稼働と経済性を両立する、次世代のメンテナンス手法として注目されています。

CBMがいま注目されている背景

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技術の進歩と社会のニーズの変化が、多くの企業がCBMに注目することになった背景です。

CBMは以前から存在した概念でしたが、技術的に実用化が難しい状態である、さらには導入するための機器が高価であるといったことから、広く普及はしていませんでした。

そんな中、近年におけるセンシング技術の進化により、高性能かつ低コストのセンサーが開発され、技術革新により実現可能性と効果が飛躍的に向上したことで、多くの企業が導入を検討できるまでになりました。

具体的には、以下の3つの技術の進化がCBMが注目されるようになった背景であると考えられます。

  • ◼︎センシング技術の進化:高性能かつ低コストのセンサーが開発された。ピエゾ電線センサーも、そのひとつ。
  • ◼︎IoT技術の発展:設備のデータ収集と常時監視が容易になった。
  • ◼︎AI技術の進歩:大量のデータを高速で分析し異常検知や故障予測の精度が向上した。

加えて、新型コロナウイルスの影響による社会環境の変化によって、遠隔監視や少人数での運用が求められるようになったことで、CBMのニーズが高まりました。

CBMを導入する目的とメリット

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CBMを導入する目的には、主に以下の4つが挙げられます。

  • ◼︎機械を安定して稼働させるため
  • ◼︎機械の寿命を延ばすため
  • ◼︎保全を標準業務にするため

これらについて、目的からメリットまで詳しく見ていきましょう。

機械を安定して稼働させるため

CBMの導入により、機械や設備の状態をリアルタイムで監視することが可能となります。故障の予兆を早期に把握し、必要なメンテナンスを適切なタイミングで行えることで、機械の安定稼働を実現できるのです。

この予防保全アプローチにより、故障が発生する前に対応することができるため、重大な影響を与えるような機械の突発的な停止を防ぐことができます。

また、CBMは単に故障を防ぐだけでなく、生産ラインの安定稼働を確保し最適な稼働率を実現します。結果として、計画外の生産停止の可能性が減少し、生産性が向上します。

メンテナンスの計画性が高まることで、部品の在庫管理の最適化や保守要員の効率的な配置も可能となり、総合的なコスト削減にもつながります。

機械の寿命を延ばすため

CBMの導入は、機械の寿命を大幅に延ばす効果があります。従来の定期的なメンテナンスと異なり、CBMでは機器の実際の状態に基づいてメンテナンスを実施するためです。

機器の状態を常時モニタリングすることで、不要なメンテナンスを減らすと同時に、わずかな変化も見逃さず問題が大きくなる前に対処することが可能となります。

結果として、機械の過度な劣化や重大な故障を未然に防ぎ、最適な状態での稼働を維持できます。これは単に機器の交換頻度を減らすだけでなく、設備投資コストの削減、生産性の向上、そして環境負荷の低減にもつながる大きなメリットです。

CBMによる予防的なアプローチは、機械の寿命を延ばすだけでなく、全体的な運用効率の向上にも貢献します。

保全を標準業務にするため

CBMの導入により、保全業務の標準化が実現します。従来の保全業務では、各対象物に特化した知識や経験が必要とされ、しばしば属人化が課題となっていました。

CBMでは、センサーを備えたIoT機器による常時監視システムが中心となるため、経験豊富な従業員の継続的な監視が不要となります。これにより、保全業務の属人化を防げるうえ、保全の自動化も可能にします。

保全業務の標準化が進み、経験の浅い人材でも比較的容易に対応できる環境が整うことで、データに基づく客観的な判断が可能となり、人的ミスの減少や保全作業の効率化も期待できます。

CBMとTBM・BDMの違いは?

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CBM(状態基準保全)のほかに、TBM(時間基準保全)・BDM(事後保全)といった保全・対処の方法もあります。

これらはそもそも目的が異なり、対処のタイミングやメンテナンス方法などもそれぞれ違います。それぞれの概要は、以下のとおりです。

 概要目的対処タイミングメンテナンス方法
CBM(状態基準保全)故障やトラブルを検知したときに対処をする方法。故障の予防と最適なメンテナンス異常検知時状態に基づく最適な方法
TBM(時間基準保全)定期的に部品交換などを行い、故障などの発生率を下げる方法。定期的な予防保全定期的定められた手順での一律対応
BDM(事後保全)故障後に故障箇所の修理や交換を行い対応する方法。故障対応故障発生後故障箇所の修理・交換

CBM導入のために必要な環境

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CBM導入にあたり、整備しなければならない環境は主に2つあります。

  • ◼︎センサーの整備|データ収集のため
  • ◼︎システムの構築|リアルタイム監視・状態把握のため

これらについて、詳しく見ていきましょう。

センサーの整備|データ収集のため

CBMを効果的に実施するには、機器の状態を正確に把握するためのセンサー整備が不可欠です。温度や振動・音響・電流など、機器の状態を示す様々な物理量を測定するセンサーを適切に配置します。

これらのセンサーは、機器の重要な部分に取り付けられ、24時間365日リアルタイムでデータを収集します。

センサーの選択と配置には専門知識が必要で、測定したい物理量や機器の特性、環境条件などを考慮する必要があります。

また、センサーの精度や耐久性も重要な要素です。データの信頼性を確保するため、定期的なシステムの調整や保守も欠かせません。

システムの構築|リアルタイム監視・状態把握のため

センサーで収集したデータを分析し、異常を検知するためのシステム構築も重要です。このシステムは、データの収集や伝送・保存・分析・可視化という一連のプロセスを担います。

IoTの導入により、これらのプロセスを一元管理できるプラットフォームを構築します。セキュリティ対策も重要で、データの改ざんや漏洩を防ぐ仕組みが必要です。

さらに、AIやビッグデータ解析技術を活用し、異常検知や故障予測の最適なアルゴリズムの構築も不可欠です。これには機械学習や深層学習などの技術が用いられ、過去のデータから学習して将来の故障を予測します。

システムの導入は段階的に行われることが多く、まずはデータの収集と可視化から始め、徐々に異常検知や予測機能を追加していきます。また、導入後も継続的な改善が必要で、予測精度の向上や新たな異常パターンへの対応などを行います。

CBMの活躍が期待できる分野

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CBMの活躍は、さまざまな分野において期待できます。主な例としては、以下のとおりです。

  • ◼︎医療・介護事業の分野
  • ◼︎産業・ロボット事業の分野
  • ◼︎ペット関連事業の分野

これらの分野において、CBMが具体的にどのように活用していけるのか、詳しく見ていきましょう。

医療・介護事業の分野

医療・介護分野において労働者不足が慢性化する中で、CBMは患者や要介護者の状態を常時監視するシステムが注目を集めています。特に、布状の触覚センサーを用いた介護用ベッドシーツは、CBMの優れた応用例です。

触覚センサーを用いたベッドシーツは、離床警報や呼吸監視・寝返り・排泄の自動検知など多様な機能を提供し、看護・介護者の負担を大幅に軽減しつつケアの質を向上させます。

車いすの座面に敷いて座圧バランスの監視を行う、足裏応力センサーとして歩行バランスの監視を行うといった活用方法も考えられるでしょう。

医療・介護事業の分野に触覚センサーを活用したCBMを導入することにより、健康状態の継続的なモニタリングや廃用症候群の予防など、予防医療の観点からも大きな貢献が期待できます。

産業・ロボット事業の分野

CBMは産業・ロボット分野での活躍も期待できます。高度な触覚センシング技術をセンサー部分に導入できれば、製造プロセスにおける精度と効率の向上・適切なメンテナンスタイミングの計測の実現が可能になるためです。

例えば、触感センサーや振動センサーを加工機械に応用すれば、刃物やベアリングなどといった機器の寿命や劣化による「加工時の微少な振動の変化」を検知できるようになります。微細な振動変化を検知できることで工具の寿命や劣化を正確に予測でき、最適なメンテナンスタイミングの特定に役立つでしょう。

ロボットハンドへ触覚センサーを導入できれば、より繊細な作業を行えることにも期待できます。

これらのCBM技術は、生産性向上や品質管理の強化、そして設備の長寿命化に大きく寄与しており、産業・ロボット事業の分野の発展を後押しするでしょう。

ペット関連事業の分野

CBMは大切なペットの健康としあわせを守るための技術としても、活躍に期待できます。例えば、首輪やベストにセンサーを組み込むことで、ペットの活動量や睡眠パターンの継続的なモニタリングが可能です。これらのデータをスマートフォンアプリと連携し、飼い主さまが外出中でもリアルタイムでペットの状態を確認できます。

さらに、AI技術を活用した解析により、ペットの行動をより正確に把握することに期待できます。活動状況の管理・ストレスレベルを管理できれば、ペットの健康上の問題を早期発見できる可能性が高まるでしょう。

ペット関連分野でのCBMの導入は、ペットの生活の質向上に貢献できます。さらに、健康上の大きな問題につながる前に、飼い主さまが対応できる環境を作ることにも期待できるでしょう。

ピエゾ電線センサーで幅広い事業でのCBMを可能にする

CBMを導入するためには、データを収集するためのセンサーが不可欠です。本記事の冒頭でご紹介した、ロボセンサー技研の「ピエゾ電線センサー」は、CBMにおけるセンサー部分として大きな活躍が期待できます。

ロボセンサー技研株式会社のセンサーは、センサーの直径が0.5mmと極細の電線センサーとなっているうえ非常にしなやかで、取り付け部分に合わせた柔軟な変形を可能にしました。

呼吸や筋肉の微小動作も計測できるほど高感度であり、自己発電のため電池も不要で、どこにでも設置が可能です。

産業機器に取り付ける・ベッドシートに織り込む・立体縫製をして手袋型のセンサーを作るなど、実に幅広い活用方法が考えられます。

「CBMにおけるセンサーを探している」「高精度でさまざまなものに応用できる触感センサーを探している」という事業者さまは、ぜひロボセンサー技研株式会社さままでお問い合わせください。

studio.は、ロボセンサー技研株式会社さまの素晴らしい技術がたくさんの事業で活躍できるよう、応援し続けます!